江東区の雨水流出抑制対策とは?

江東区で建築計画を進める設計者・事業者向けに、雨水流出抑制対策の設置基準と届出手続きの流れをまとめました。

江東区雨水流出抑制対策実施要綱と対象事業

江東区では、一定規模以上の建築計画に対して「江東区雨水流出抑制対策実施要綱」に基づく雨水流出抑制施設の設置を求めています。まずは制度の目的を理解し、計画中の事業が届出の対象になるかを確認しましょう。

要綱が定められた目的と対象区域

江東区雨水流出抑制対策実施要綱は、総合的な治水対策の一環として定められた制度です。区内の施設の敷地内に雨水流出抑制施設を設けることで浸水被害の軽減・防止を図り、安全で快適な都市環境を確保することを目的としています。

背景には、近年多発する局地的な集中豪雨があります。大量の雨水が一気に下水道へ流れ込むと処理しきれずにあふれ、浸水被害につながります。対象区域は江東区全域です。浸透施設(浸透ます・浸透トレンチなど)、貯留施設(貯留槽)、またはこれらを組み合わせた施設で流出を抑制します。

なお、令和6年4月1日から、担当窓口が土木部管理課から土木部河川公園課(工務係)に変更されています。

参照元:江東区ホームページ|江東区雨水流出抑制対策(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/usuiyokusei.html)

届出が必要となる対象事業の条件

届出の対象は、区内で敷地面積が300㎡以上の施設の新築・増築・改築を行う場合です。ただし、次のいずれかに該当する場合は対象外となります。

  • 建築面積が180㎡未満
  • 建築基準法第2条第14号に規定する大規模の修繕
  • 建築基準法第2条第15号に規定する大規模の模様替
  • 建築基準法第85条に規定する仮設建築物
  • 建築基準法第87条第1項に規定する用途の変更
  • 建築基準法第88条第1項に規定する工作物
  • その他、区長が特に必要と認める事項

敷地面積の基準は区ごとに異なるため、他区の案件と同じ感覚で判断すると届出漏れにつながります。江東区で計画を進める際は、まず「敷地面積が300㎡以上か」「建築面積が180㎡以上か」の2点を確認し、届出の要否を早めに判断しましょう。

参照元:江東区ホームページ|江東区雨水流出抑制対策実施要綱(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/180901usuiyoukou.pdf)

敷地面積に応じた基準抑制対策量の算定

届出の対象になったら、次は敷地面積に応じて確保すべき「基準抑制対策量」を算定します。対策量は貯留槽だけでなく、浸透施設や透水性舗装、緑地などを合算して満たすことができます。

敷地面積3区分による基準抑制対策量の違い

事業者は、敷地面積の区分に応じて、次の貯留量(または貯留換算量)を確保する必要があります。

敷地面積貯留量または貯留換算量(敷地面積1㎡当たり)
300㎡以上500㎡未満0.02㎥以上
500㎡以上1,000㎡未満0.03㎥以上
1,000㎡以上0.05㎥以上

引用元:江東区ホームページ|江東区雨水流出抑制対策実施要綱 別表(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/180901usuiyoukou.pdf)

基準抑制対策量は「敷地面積×単位対策量」で求め、小数点第三位を四捨五入します。区の記入見本では、敷地面積2,500.26㎡の計画が1,000㎡以上の区分(0.05㎥/㎡)に該当し、基準抑制対策量は125.01㎥と算出されています。

なお、公開空地の面積は、対策量を算出する際の敷地面積から除外できます。総合設計制度などで公開空地を設ける計画では、除外後の面積で計算すると必要量を適正に見積もれます。

参照元:江東区ホームページ|(記入見本)雨水流出抑制施設設置計画書、対策量計算書(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/r310keikakushomihon.pdf)

参照元:江東区ホームページ|よくあるご質問(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/240620usuiqa.pdf)

貯留槽以外に対策量へ算入できる施設

対策量計算書では、次の(1)〜(7)の施設の対策量を合算します。

種別対策量の算定方法
(1) 貯留槽貯留面積×貯留水深
(2) 浸透ます浸透能力(㎥/基)×設置数
(3) 浸透トレンチ浸透能力(㎥/m)×延長
(4) 透水性U字溝300×300の場合0.10㎥/m×延長
(5) 透水性舗装歩道部等0.02㎥/㎡、車道部等0.05㎥/㎡×面積
(6) 緑地等浸透域(芝生・植栽地等)0.05㎥/㎡×面積
(7) その他浸透(貯留)能力×面積

記入見本では、貯留槽80.50㎥に、浸透ます3.42㎥、浸透トレンチ3.29㎥、透水性U字溝1.00㎥、透水性舗装13.35㎥、緑地27.50㎥を組み合わせ、合計129.06㎥としています。基準抑制対策量125.01㎥を上回る計画です。

緑地は地表面の状態で判断する点に注意が必要です。高木があっても周囲が土であれば、樹冠の面積は緑地に含まれず「裸地」として扱われます。

参照元:江東区ホームページ|雨水流出抑制施設等の対策量計算書(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/180901keisansho.pdf)

参照元:江東区ホームページ|(記入見本)雨水流出抑制施設設置計画書、対策量計算書(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/r310keikakushomihon.pdf)

参照元:江東区ホームページ|よくあるご質問(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/240620usuiqa.pdf)

事前相談から完了届までの手続きフロー

江東区の手続きは、建築確認申請の前に計画書を届け出ることが前提です。下水道局との協議や区の審査期間も考慮し、竣工までのスケジュールを逆算して進めましょう。

事前相談と計画書の提出(建築確認申請前)

事業者は、建築確認申請(または計画通知)を行う前に協議を済ませておく必要があります。雨水流出抑制施設の設置計画は区と、許容排水量は下水道管理者と、それぞれ協議したうえで「雨水流出抑制施設設置計画書」を届け出ます。

事前相談と提出は、LoGoフォームによる電子申請で行えます。窓口での相談・提出も可能です。計画書の提出は、必ず事前相談を完了してから行います。届出への押印は不要です。

書類審査には最大2週間程度かかります。電子申請と紙の提出で、区の処理時間は変わりません。

参照元:江東区ホームページ|江東区雨水流出抑制対策(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/usuiyokusei.html)

参照元:江東区ホームページ|よくあるご質問(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/240620usuiqa.pdf)

また、次のいずれかに該当する場合は、計画時点で東京都下水道局との「大量排水協議」も必要です。江東区の窓口は東部第一下水道事務所(お客さまサービス課渉外調整担当)です。

  • 排出汚水量50㎥/日以上
  • 敷地面積1,000㎡以上
  • 延床面積3,000㎡以上

江東区は大量排水協議の申請状況を確認しません。ただし、下水道局が区への計画届の提出状況を確認することがあるため、両方の手続きを並行して計画に組み込んでおきましょう。

参照元:東京都下水道局|建物の建築計画の前には、排水に関する事前協議や届出が必要です(https://www.gesui.metro.tokyo.lg.jp/application/todoke/in0011)

変更届・完了届と工事写真の提出

計画書の内容に変更が生じた場合は、速やかに変更届を提出します。対策量がわずかでも変わる場合は提出が必要です。ただしその場合は、竣工後に完了届と一緒に提出しても構いません。

工事が完了したら、速やかに完了届を提出します。江東区は現地立会いを行わず、完了届に添付された写真で確認します。そのため、施工中の撮影計画が重要です。施設ごとに、次の内容がわかる写真を撮影しておきましょう。

  • 貯留槽:各槽につき、面積と深さの程度がわかる写真(各槽最低2方向以上)
  • 浸透ます:設置基数と規模がわかる写真
  • 浸透トレンチ:設置基数・深さ・延長の程度がわかる写真
  • 舗装・緑地:施工面積の規模と施工規格がわかる写真

完了届に記載する管理責任者は、竣工後に建物を管理する責任者です。未定の場合は決まってから提出し、時間がかかる場合は施主を記入します。

参照元:江東区ホームページ|よくあるご質問(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/240620usuiqa.pdf)

設計上の留意点と雨水貯留槽の導入

雨水流出抑制施設の設計では、東京都の技術指針に沿った検討が求められます。敷地条件によっては浸透施設が使いにくいケースもあるため、貯留槽を含めた施設の組み合わせを早い段階で検討しましょう。

設計・施工時に押さえたい技術的な留意点

技術的事項は、「東京都雨水貯留・浸透施設技術指針」「公共施設における一時貯留施設等の設置に係る技術指針」「東京都排水設備要綱」が標準です。これらによりがたい場合は区と協議します。

江東区の手引きでは、地下水位が浸透施設の底面から50cm以上離れていない場所を、浸透施設の設置に適さない場所としています。このような場所では、貯留施設を検討するよう案内されています。地下水位の状況は、東京都下水道局の浸透適地マップでも目安を確認できます(各区のマップと相違がある場合は、各区のマップが優先されます)。地下水位の制約がある場合は、貯留槽が有力な選択肢になります。

浸透施設は、建物等の基礎から30cm以上、または浸透施設の掘削深に相当する距離を離して設置します。

地下室を設けるため建物内に貯留槽を設置できない場合でも、貯留量は免除されません。外構部や駐車場内への設置を検討します。許容放流量は0.033㎥/s/haです。大雨時に備え、オーバーフロー管の接続やポンプの強制吐出しを設定することは認められています。必要に応じて下水道局にも確認してください。

参照元:江東区|雨水流出抑制の手引き[※PDF](https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/usuiryuusyutuyokuseinotebiki.pdf)

参照元:東京都下水道局|雨水浸透ハンドブック(https://www.gesui.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/gesui/handbook_usui)

参照元:江東区ホームページ|よくあるご質問(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/240620usuiqa.pdf)

適切な埋め戻しや組み立てを行う
雨水貯留槽の施工方法(工事の流れ)の詳細はこちら

既製品の雨水貯留槽を採用する際の要件

プラスチック製などの既製品の雨水流出抑制施設を設置する場合は、計画書にパンフレットやカタログ等を添付する必要があります。

対策量計算書には、貯留槽であれば貯留面積×貯留水深で求めた貯留量を記入します。浸透施設には空隙率の記入欄もあり、製品の能力を数値で示すことが求められます。貯留・浸透機能が一体となった製品も、それぞれの能力の計算書を添付すれば対策量に算定できます。

製品選定の際は空隙率に注目しましょう。空隙率が高い製品ほど、同じ貯留量をより小さな掘削範囲で確保しやすくなります。外構や駐車場下など限られたスペースで基準量を満たしたい計画では、重要な判断材料です。

参照元:江東区ホームページ|(記入見本)雨水流出抑制施設設置計画書、対策量計算書(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/r310keikakushomihon.pdf)

参照元:江東区ホームページ|よくあるご質問(https://www.city.koto.lg.jp/470132/machizukuri/kasenkoen/kasen/documents/240620usuiqa.pdf)

現場条件や要求スペックに合わせた
雨水貯留槽の選び方の詳細はこちら

まとめ

江東区では、敷地面積300㎡以上の新築・増改築で雨水流出抑制施設の届出が必要です。基準抑制対策量は敷地面積の区分で決まり、貯留槽に浸透施設や舗装、緑地を組み合わせて満たせます。建築確認申請前の事前相談と、完了届用の工事写真の計画を早めに進め、手戻りのない設計・施工につなげましょう。

【目的別】
おすすめの雨水貯留槽3選

無料の雨水でコストを削減しつつ浸水被害を抑え、非常用水も確保できる雨水貯留槽。ですが、その性能や最適な設置場所は多岐にわたります。例えば、「狭いスペースへの対応力」、「大規模な貯留容量と効率的な施工」、あるいは「景観との調和や維持管理のしやすさ」など、メーカーごとに得意分野は異なります。ここでは、あなたのニーズにぴったりの製品が見つかるよう、特徴の異なる3社をピックアップしてご紹介します。

500㎥以上~
物流倉庫・工場などの
大規模開発工事なら
リスレインスタジアムⓇGT
(リス興業株式会社)
リスレインスタジアムGTの画像

引用元:https://www.risu-kogyo.co.jp/risurainstadium/gt/

重車両対応!
省掘削で短期施工を実現
  • 60t級クレーン対応の六角支柱構造により、物流倉庫や工場などで、荷物の積み下ろしエリアなどでのクレーン作業を中断せずに雨水貯留を導入可能。上部は舗装後、T-25車両が常時走行でき、搬入路や駐車スペースとしても安全に活用可能。
  • 第三者機関による構造評価書付きで、空隙率も94%と高く、各自治体の条例や流出抑制基準への適合がスムーズ。 モジュール式施工により1日300㎥という圧倒的な施工スピードで500㎥を超える大規模な貯留容量も短期間で確実に設置可能。 また、点検口の配置も自由自在で、メンテナンス維持に欠かせない長期的な管理まで容易に構築できます。
こんなお悩みにおすすめ
  • クレーン作業を中断せずに、工事も同時に進めたい…
  • 貯留槽の上を駐車場や重車両の通路として最大限に活用したい…。
  • 大規模な貯留量を確保したいけど、工期はできるだけ短くしたい…。
200~500㎥
集合住宅などの
中規模開発工事なら
クロスウェーブNe
(積水化学工業株式会社)
クロスウェーブNeの画像

引用元:https://sekisui-cw.co.jp/dl/data/CW_J_2025_5.pdf

駐車場下で短工期
節水と防災両立
  • 空隙率95%の高効率構造で限られた敷地でも必要容量を確保しやすく、深さ0.5〜2mの5タイプを同一モジュールで切り替えられるため、階高や敷地条件の異なる集合住宅計画にも柔軟に対応できる。
  • 浸透パネルの後付け対応や、掘り返し不要の構造により条例変更時の追加工事を回避できるうえ、軽量ブロック構造で点検や清掃も容易なため、長期的な維持管理負担も抑えられる。
こんなお悩みにおすすめ
  • 敷地の制約が厳しく、雨水貯留槽の設計に困っている…。
  • 長期的な維持管理のコストはできるだけ抑えたい…。
  • 限られたスペースを最大限に活かして、必要な貯留量を確保したい…。
200㎥以下
戸建ての宅地造成などの
小規模開発工事なら
システムパネル
(エバタ株式会社)
システムパネルの画像

引用元:https://www.ebata.co.jp/ebata/products/products001.html

重機不要!
パネルを組むだけ簡単施工!
  • 95%の高い空隙率を誇り、掘削範囲を最小限に抑えながら有効容量を最大化。200m³以下の小規模な現場に最適で、限られた敷地面積を最大限に有効活用できます。重機が入らない狭小地でも、人力でスピーディーに設置できるため、戸建ての宅地造成などでパフォーマンスを発揮します。
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こんなお悩みにおすすめ
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  • 特殊な重機を使わず施工したい....
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雨水貯留槽「3選