雨水貯留槽と雨水貯水タンクの違い

目次

近年多発する豪雨災害への備えとして有効な雨水貯留槽。しかし、「雨水貯留槽」と「雨水貯水タンク」の違いが曖昧で、どちらを選ぶべきか迷われるケースも少なくありません。本記事では、両者の決定的な違いと、企業の浸水対策として適切な設備の選び方を解説します。

雨水貯留槽と雨水貯水タンクの違い

雨水貯留槽と雨水貯水タンクの最大の違いは「設置場所」と「主な目的」にあります。

一般的に、雨水貯留槽は地下に埋設し、都市型水害を防ぐための「治水(流出抑制)」を主目的とする大規模な設備を指します。一方、雨水貯水タンクは地上に設置し、水やりや洗車などに水を利用する「利水」を主目的とする小規模な容器を指すことが一般的です。

それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

雨水貯留槽とは

雨水貯留槽とは、降った雨を集水して一時的に貯め、時間をかけてゆっくりと外部へ流出(放流)させたり、地中へ浸透させたりするための施設です。主に建物の地下や駐車場の地下などに設置される「地下埋設型」の設備です。

主な導入先・導入目的

雨水貯留槽は、主に企業、商業施設、公共施設、大規模な駐車場、工場などで導入されます。

  • 導入目的:都市型洪水の防止(流出抑制):雨水を一時的に貯留することで、下水道や河川への急激な流入を防ぎ、周辺地域の浸水被害を抑制します。
  • 法的義務の履行:自治体の条例や開発許可の条件として、雨水流出抑制施設の設置が義務付けられる場合があります。
  • 長期的な運用:地下埋設型(プラスチック製など)の耐用年数は一般的に約50年とされ、長期間にわたりインフラとしての機能を果たします。

参照元:Q&A - 【公式】城東リプロン|雨水貯留槽の耐用年数は?(https://lyprone.com/qa/

企業や施設の設備担当者が「浸水対策」や「地域貢献(防災)」を考える場合は、この雨水貯留槽の導入が基本となります。

雨水貯水タンクとは

雨水貯水タンク(または単に雨水タンク)とは、屋根に降った雨水を雨どいから分岐させて貯めるための地上の容器です。一般的に容量は数十リットルから数百リットル程度のものが主流です。

主な導入先・導入目的

雨水貯水タンクは、主に一般戸建て住宅の庭、軒下、小規模な事業所などに導入されます。

  • 導入目的:水資源の有効活用(利水):貯めた雨水を庭木への水やり、打ち水、洗車などに利用し、水道代の節約につなげます。
  • 災害時の生活用水:地震などで断水した際に、トイレの流し水などの非常用水として活用します。
  • 手軽な設置:地上に設置するため大掛かりな工事が不要で、DIYでの設置も可能です。ただし、屋外設置型の耐用年数は10年未満となる場合が多いです。

一部の自治体では、容量200リットル以上のタンク設置に対して助成金が出るケースもありますが、企業が大規模な災害対策として導入するには容量や機能が限定的です。

参照元:セキスイハイム東海オーナーサポート(https://www.hfc816t.jp/cs/no-8/

実務で迷わない!雨水貯留槽(地下)と貯水タンク(地上)の比較基準

開発担当者や施設管理者が、予算や敷地条件に合わせてどちらの設備を選ぶべきか、具体的な実務判断の目安を比較検討することが重要です。

1. 設置スペースと土地の利用効率:地下空間 vs 地上スペース

地上設置型の「貯水タンク」は、建物周辺の空きスペースや犬走りに手軽に設置できる反面、大容量(数十㎥以上)の確保を目指すと広大な地上敷地を占有し、景観や人の動線を邪魔してしまう懸念があります。

一方、地下埋設型の「雨水貯留槽(プラスチック製)」は、駐車場や車路、緑地の「真下」を有効活用するため地上スペースを一切犠牲にしません。T-25(大型車両)対応製品を選べば、トラックなどの重量車両が往来する場所でも安全に大容量を確保できます。

2. 容量規模と目的:条例による「流出抑制義務」への対応力

各自治体の開発指導要綱や条例で義務付けられる「雨水流出抑制対策」をクリアするためには、数百リットル程度の地上型「貯水タンク」では容量が全く足りないケースがほとんどです。

敷地面積が500㎡や1,000㎡を超えるような民間開発においては、大雨時に敷地内の雨水を一時的に一括ホールドできる、十〜数百㎥規模の地下埋設型「雨水貯留槽」の設置が実質的な必須要件となります。

3. 導入コストと自治体の「助成金・補助金制度」の適用区分

導入費用そのものは地上型の貯水タンク(数万〜数十万円)の方が安価です。しかし、地下型の雨水貯留槽(数百万円〜)には、都市型水害を防ぐ公益性の高さから、高額な自治体補助金(例:工事費の3分の2、上限数百万円など)が適用されるケースが多く見られます。

ただし、どちらの設備を導入する場合でも「工事着工前の事前申請・事前協議」が補助金受給の絶対条件となるため、必ず見積もり・設計段階で行政窓口への確認手順を踏むことを強く推奨します。

豪雨災害などの対策には雨水貯留槽を導入しよう

雨水貯留槽と雨水貯水タンクは、どちらも雨水を貯める設備ですが、その役割は大きく異なります。

企業や施設の担当者様が、敷地内の浸水防止や地域の水害対策(CSR活動含む)を目的とするならば、地下に設置する「雨水貯留槽」を導入するとよいでしょう。まずは専門のメーカーや施工会社に相談し、敷地条件に合った貯留槽の計画を立てることをおすすめします。

大規模、中規模、小規模
【開発工事の規模別】
おすすめの雨水貯留槽3選はこちら

【目的別】
おすすめの雨水貯留槽3選

無料の雨水でコストを削減しつつ浸水被害を抑え、非常用水も確保できる雨水貯留槽。ですが、その性能や最適な設置場所は多岐にわたります。例えば、「狭いスペースへの対応力」、「大規模な貯留容量と効率的な施工」、あるいは「景観との調和や維持管理のしやすさ」など、メーカーごとに得意分野は異なります。ここでは、あなたのニーズにぴったりの製品が見つかるよう、特徴の異なる3社をピックアップしてご紹介します。

500㎥以上~
物流倉庫・工場などの
大規模開発工事なら
リスレインスタジアムⓇGT
(リス興業株式会社)
リスレインスタジアムGTの画像

引用元:https://www.risu-kogyo.co.jp/risurainstadium/gt/

重車両対応!
省掘削で短期施工を実現
  • 60t級クレーン対応の六角支柱構造により、物流倉庫や工場などで、荷物の積み下ろしエリアなどでのクレーン作業を中断せずに雨水貯留を導入可能。上部は舗装後、T-25車両が常時走行でき、搬入路や駐車スペースとしても安全に活用可能。
  • 第三者機関による構造評価書付きで、空隙率も94%と高く、各自治体の条例や流出抑制基準への適合がスムーズ。 モジュール式施工により1日300㎥という圧倒的な施工スピードで500㎥を超える大規模な貯留容量も短期間で確実に設置可能。 また、点検口の配置も自由自在で、メンテナンス維持に欠かせない長期的な管理まで容易に構築できます。
こんなお悩みにおすすめ
  • クレーン作業を中断せずに、工事も同時に進めたい…
  • 貯留槽の上を駐車場や重車両の通路として最大限に活用したい…。
  • 大規模な貯留量を確保したいけど、工期はできるだけ短くしたい…。
200~500㎥
集合住宅などの
中規模開発工事なら
クロスウェーブNe
(積水化学工業株式会社)
クロスウェーブNeの画像

引用元:https://sekisui-cw.co.jp/dl/data/CW_J_2025_5.pdf

駐車場下で短工期
節水と防災両立
  • 空隙率95%の高効率構造で限られた敷地でも必要容量を確保しやすく、深さ0.5〜2mの5タイプを同一モジュールで切り替えられるため、階高や敷地条件の異なる集合住宅計画にも柔軟に対応できる。
  • 浸透パネルの後付け対応や、掘り返し不要の構造により条例変更時の追加工事を回避できるうえ、軽量ブロック構造で点検や清掃も容易なため、長期的な維持管理負担も抑えられる。
こんなお悩みにおすすめ
  • 敷地の制約が厳しく、雨水貯留槽の設計に困っている…。
  • 長期的な維持管理のコストはできるだけ抑えたい…。
  • 限られたスペースを最大限に活かして、必要な貯留量を確保したい…。
200㎥以下
戸建ての宅地造成などの
小規模開発工事なら
システムパネル
(エバタ株式会社)
システムパネルの画像

引用元:https://www.ebata.co.jp/ebata/products/products001.html

重機不要!
パネルを組むだけ簡単施工!
  • 95%の高い空隙率を誇り、掘削範囲を最小限に抑えながら有効容量を最大化。200m³以下の小規模な現場に最適で、限られた敷地面積を最大限に有効活用できます。重機が入らない狭小地でも、人力でスピーディーに設置できるため、戸建ての宅地造成などでパフォーマンスを発揮します。
  • 50cm角・約2kgの軽量パネルは重機を使わずに搬入・組立が可能で、狭小地や造成済み宅地でも静かに短工期で設置できるため、後付けを含む小規模住宅への導入に適している。
こんなお悩みにおすすめ
  • 狭小宅地での貯留スペース確保が課題...
  • 特殊な重機を使わず施工したい....
  • 専門知識がなくても施工したい...

品質・安全性・施工実績を備えた
雨水貯留槽「3選