雨水貯留槽設置の補助金制度

目次

雨水貯留・浸透槽の設置には、自治体によって補助金の制度があります。各自治体の補助金制度の例を以下にご紹介します。

雨水貯留槽の補助金・助成金制度に関する基礎知識と共通ルール

個別の自治体事例を見る前に、全国的に共通する補助金・助成金制度の概要と、申請で絶対に失敗しないための実務ルールを客観的に解説します。

全国で推進される「雨水流出抑制施設設置助成金」

近年激甚化するゲリラ豪雨や集中豪雨による内水氾濫対策として、全国の多くの市区町村で雨水貯留施設や浸透施設の設置費用の一部を負担する助成制度が設けられています。

制度の名称や対象要件は自治体ごとに異なるため、まずは管轄の下水道局や環境課のホームページなどで「雨水貯留浸透施設 助成金 〇〇市(区)」と検索し、最新の交付要綱を確認することが第一歩となります。

補助率の相場と上限額の目安(地下埋設型と地上型の違い)

補助金額の算出方法は自治体によって様々ですが、一般的に設置にかかる材料費・工事費の「2分の1から3分の2」程度が補助されるケースが多く見られます

また、地上設置型の小規模な「雨水タンク(補助上限:数万円程度)」と、駐車場や建物の地下に埋設する大規模な「雨水貯留槽(補助上限:数十万円から数百万円)」とでは、限度額の枠組みや対象となる要件(敷地面積や開発基準など)が明確に区分されているのが実情です。

申請における絶対ルール「着工前(契約前)の事前申請」

補助金制度を活用する上で最も重要な注意点として、ほとんどの自治体において必ず「工事着工前(自治体によっては業者との契約前)」に窓口へ交付申請を行い、決定通知を受けてから着工する必要があるという絶対ルールが存在します。

設置完了後の事後申請では、いかなる理由であっても補助対象外となってしまうため、必ず設計・見積もりの初期段階で行政窓口と事前協議を行う手順を徹底しましょう。

東京都の雨水流出抑制事業の補助金事例

対象工事

東京都の補助金は、施設を設置した人に直接支払われるのではなく、設置場所の区市町村に対して都が交付するスキームとなっています。対象となるのは、都の定める総合的な治水対策計画(東京都豪雨対策基本方針など)の対象流域に該当し、以下の要件を満たすものです。

対象地域 都が指定する対策強化流域等にかかる区市町村(島しょ部を除く)
設置場所 個人の住宅等(ただし、敷地面積500m2以上の新築住宅を除く)
設置施設 「東京都雨水貯留・浸透施設技術指針(資料編)」に基づく貯留浸透能力を有する施設、またはグリーンインフラ設備等
その他 雨水タンクへの補助要件
・雨水流出抑制施設(浸透ます等)の設置が困難な場合
・すでに雨水流出抑制施設を設置した上で雨水タンクを設置する場合、等

補助金額(限度額)

東京都が区市町村に対して交付する補助金は、都が定める標準工事費または区市町村が定める助成金額のうち小さい額の45%以内とし、1件あたり18万円を上限としています。なお、雨水タンク設置の補助金は本体価格の13.75%、1個あたり7,700円が上限となります。

参照元:【PDF】東京都都市整備局「流域対策等強化・推進事業補助金交付要綱(雨水流出抑制事業補助要綱)」
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/toshiseibi/hojo_kouhuyoukour8_4

施工主(住民)には、上記の東京都からの補助原資を含む形で、各区市町村の助成金として支給されます。助成金額の上限や要件は自治体ごとに異なり、例えば目黒区では40万円(雨水タンク単独は原則不可、浸透施設併用で5.6万円上限)、杉並区では浸透施設が最大40万円(助成率100%)、世田谷区では一般地区が40万円、流域対策推進地区等の特定地区で50万円となっています(令和8年度最新の要綱に基づく)。

「目黒区」参照元:目黒区公式サイト「雨水流出抑制施設等設置助成制度」
https://www.city.meguro.tokyo.jp/toshiseibi/kurashi/sumai/usui.html

「杉並区」参照元:杉並区公式サイト「雨水浸透施設工事費の助成」
https://www.city.suginami.tokyo.jp/s098/1572.html

「世田谷区」参照元:世田谷区公式サイト「雨水浸透施設設置助成制度」
https://www.city.setagaya.lg.jp/03666/622.html

申請の流れ

補助金の交付にあたっては、各区市町村長が東京都知事に対して交付申請書および実施計画書を提出します。審査によって適当と認められたものは、補助金交付の決定通知書によって市区町村長に通知されます。

施設の設置完了もしくは補助金交付に係る会計年度が終了したとき、区市町村長は速やかに実績報告書と関係書類を知事に提出します。現地確認・検査等を経て、正式に補助金額が確定し、市区町村長に額の確定通知が届きます。その後、市区町村長は交付請求書を発行し、これをもって東京都から区市町村へ補助金が交付されます。個人が助成を申請する場合は、お住まいの自治体窓口(工事着手前の事前相談等)へ直接申請してください。

参照元:東京都総合治水対策協議会「技術指針・各種基準ダウンロード」
https://www.tokyo-sougou-chisui.jp/shishin/

千葉県千葉市の補助金事例

補助対象

千葉市では、公共下水道事業計画区域内(下水道を使用している区域、または今後使用できる区域)において、以下の雨水貯留・浸透施設の設置事業を行う方を対象に補助金を交付しています(ただし、建築物や隣地境界から50cm以内の場所など、設置不可・不適場所を除きます)。

  • 浄化槽を雨水貯留槽に改造(転用)する場合
  • 市販の雨水貯留槽を設置する場合(建物1棟に対し1基まで)
  • 雨水浸透ますを設置する場合(建物1棟に対し4個まで)

補助金額

雨水貯留・浸透槽の補助金額

※市販雨水貯留槽は、製品として市販されているものに限ります(自己改造品・自作品などは対象外)。
※実際の補助申請金額は、1,000円未満を切り捨てた補助金額となります。

補助対象施設 規格・条件 補助金額(1基/1個あたり)
浄化槽を雨水貯留槽に改造(転用)する場合 既設の単独、または合併処理浄化槽 75,000円
市販雨水貯留槽を設置する場合
(建物1棟に対して1基まで)
中容量 容量100L以上200L未満 18,000円
大容量 容量200L以上 25,000円
雨水浸透ますを設置する場合
(建物1棟に対して4個まで)
小口径 ます口径150mm 11,000円
中口径 ます口径200mm 13,000円
大口径 ます口径300mm 16,000円
特大口径 ます口径350mm以上 26,000円

申請の流れ

市販の雨水貯留槽の購入に対する補助を申請する場合は、貯留槽を購入・設置する前、もしくは購入後60日以内に、補助金交付申請書と見積書(または領収書)を千葉市に提出します(購入前の事前申請が推奨されています)。

一方で、浄化槽転用雨水貯留槽および雨水浸透ますの設置については、必ず工事施工前に申請が必要です。工事着工後の申請は対象外となるため注意してください。必要書類として、交付申請書のほか、案内図、平面図、構造図、見積書、排水設備新設等確認申請書の写し等を提出します。

申請フロー
  1. 施設設置・工事の申請(必要書類の提出)
  2. 市による書類審査および補助決定通知書の交付
  3. 施設設置・工事の実施(施工前後の写真撮影等)
  4. 実績報告書の提出(施工状況写真等を添付)
  5. 市による交付決定通知書の交付
  6. 補助金交付請求書および管理協定書の提出
  7. 指定口座への補助金振込

参照元:千葉市公式サイト「雨水貯留槽・雨水浸透ます設置補助制度」
https://www.city.chiba.jp/kensetsu/gesuidokikaku/eigyo/usui_subsidy.html

栃木県宇都宮市の補助金事例

補助対象

宇都宮市では、市街化区域を対象に、雨水の流出抑制、水循環の保全、および浸水被害軽減を目的として、各種雨水貯留・浸透施設の設置に係る経費(製品費および工事費)の一部を補助しています。補助対象となるのは、市街化区域内に土地または建物を所有・占有している方で、市税や水道料金、下水道使用料等に滞納がない方です。一般住宅のほか、集合住宅、事務所、駐車場等の事業者用施設も広く対象となります。

補助金額(限度額)

補助対象施設(5種類)の設置に係る経費(消費税を含む額、送料・申請費は除く)の3分の2が補助されます(1,000円未満切り捨て)。ただし、以下のように各施設ごとに補助限度額(上限)が設定されています。

雨水貯留タンクについては、容量100L以上で蛇口を備えた市販の専用製品が対象となり、建物1棟につき2基まで補助されます。また、令和5年度より新たに「透水性アスファルト舗装」が補助対象に加わりました。

容量別、貯留タンクの限度額一覧(補助額:設置経費の3/2、上限額まで)
100リットル以上300リットル未満 40,000円/基(建物1棟につき2基まで)
300リットル以上500リットル未満 60,000円/基(建物1棟につき2基まで)
500リットル以上 80,000円/基(建物1棟につき2基まで)
容量別、雨水浸透施設の限度額一覧(補助額:設置経費の3/2、上限額まで)
浸透ます
(内径300mm以上の市販専用品)
30,000円/基
(土地または建物1棟につき6基まで)
浸透トレンチ
(内径100mm以上の市販専用品)
10,000円/m
(土地または建物1棟につき24mまで)
浄化槽転用槽およびその他の補助施設限度額(補助額:設置経費の3/2、上限額まで)
浄化槽転用槽
(浅井戸用自動ポンプおよび水栓を完備)
60,000円/基
(建物1棟につき1基まで)
透水性アスファルト舗装
(雨水浸透機能を持つ舗装、一宅地等あたり10㎡以上300㎡まで)
900円/㎡

申請の流れ

宇都宮市における補助金の交付申請は、設置する施設が「雨水貯留施設(貯留タンク)のみ」か、「その他の浸透施設等(ます・トレンチ・浄化槽転用・舗装)」かによって申請フロー(事後申請か事前申請か)が異なります。

雨水貯留施設(貯留タンク)のみを設置する場合(設置後の事後申請フロー)

※製品購入・設置が完了した後、製品購入日から1年以内に申請を完了させる必要があります。

  1. 事前相談(補助対象区域や要件の確認)
  2. 貯留タンクの購入・設置工事の実施
  3. 補助金交付申請書の提出(領収書、カタログ等の添付必要)
  4. 市による書類審査(市税・水道料金等の滞納調査を含む)
  5. 市職員による現地検査(完了確認)
  6. 交付決定および補助金額確定
  7. 指定口座への補助金振込
雨水浸透施設・浄化槽転用槽・透水性アスファルト舗装(またはタンクとの同時申請)の場合(工事前の事前申請フロー)

※必ず工事着工前に申請手続きを行い、決定を受ける必要があります。事後申請は認められません。

  1. 補助金交付申請書の提出(見積書、配置図、構造図等の添付が必要)
  2. 市による書類審査および現地確認
  3. 補助金交付決定通知書の送付
  4. 工事の着手・実施(着工前、工事中、完成時の状況写真を撮影)
  5. 工事の完了
  6. 工事完了届兼請求書の提出(領収書、施工写真等を添付)
  7. 市職員による現地検査(完了確認)
  8. 指定口座への補助金振込

参照元:宇都宮市上下水道局公式サイト「雨水貯留・浸透施設設置補助制度」
https://www.city.utsunomiya.lg.jp/josuido/user/1018745/1002659.html

まとめ

雨水貯留槽や浸透ますの設置には、多くの自治体で費用負担を軽減する補助金・助成金制度が整備されています。

各自治体によって補助対象となる施設の種類や上限金額は異なりますが、共通して最重要となるのは「必ず工事や契約の前に事前協議・申請手続きを行うこと」です。設置計画の初期段階で管轄の行政窓口へ問い合わせ、制度をフル活用して最適な浸水対策を実現しましょう。

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リスレインスタジアムGTの画像

引用元:https://www.risu-kogyo.co.jp/risurainstadium/gt/

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200~500㎥
集合住宅などの
中規模開発工事なら
クロスウェーブNe
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クロスウェーブNeの画像

引用元:https://sekisui-cw.co.jp/dl/data/CW_J_2025_5.pdf

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節水と防災両立
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こんなお悩みにおすすめ
  • 敷地の制約が厳しく、雨水貯留槽の設計に困っている…。
  • 長期的な維持管理のコストはできるだけ抑えたい…。
  • 限られたスペースを最大限に活かして、必要な貯留量を確保したい…。
200㎥以下
戸建ての宅地造成などの
小規模開発工事なら
システムパネル
(エバタ株式会社)
システムパネルの画像

引用元:https://www.ebata.co.jp/ebata/products/products001.html

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