雨水貯留・浸透施設に関する用語
- 「貯留施設」
…雨水の流出量を抑制するための施設のうち、雨水を一時的にため込んでおく施設のこと。地下の貯留槽を使用するため、地上部分は駐車場や公園、グラウンドなどとして利用可能。オンサイト施設とオフサイト施設に大別される。 - 「浸透施設」
…ますなどに集まった雨水を、地表や地下の浅い地点から地中に分散させながら浸透させる施設。構造により浸透ますや浸透トレンチ、透水性舗装などに分類される。 - 「浸透ます」
…流入してくる雨水をうけるますのことで、溜まった雨水は側面や底面の浸透孔から地中に浸透させる。 - 「浸透トレンチ」
…ますなどに溜まった雨水を導き、側面や底面から地中に浸透させるための溝のこと。ますから水を導く浸透管と、その周囲の充填材で構成される。 - 「オフサイト施設」
…河川や下水道、水路などで集めた雨水を貯留して、流出を抑制する調節池などの施設のこと。 - 「オンサイト施設」
…雨水を降ったその場所で貯留・浸透させて雨水の流出を抑制する施設で、現地貯留などとも呼ばれる。雨水の移動が最小限で済むのが特徴。
設計・施設の仕様に関する用語
- 「集水面積」
…貯留施設や浸透施設に雨水を集めることができる範囲の面積のこと。 - 「流域対策量」
…雨水の流出量を抑制するため、対象となる範囲の保水・遊水機能を確保するために必要な貯留施設や浸透施設の許容量のこと。計画上の降雨量と、河川や下水道の排水能力との対比で算出される。 - 「基準浸透量」
…浸透ます1個や、浸透トレンチ1メートルなど、浸透施設での単位当たりの雨水の浸透量。現場での浸透試験や、試験結果から導かれる飽和透水係数から算出される。 - 「影響係数」
…透水施設の目詰まりや地下水位の上昇などの要因により、雨水の浸透量が低下することを考慮する際の安全係数。 - 「空隙率」
…貯留槽や浸透槽の内部に詰める砕石や部材などの見かけ上の体積のうち、見かけ上の体積から実際の体積をマイナスして算出される空隙(すきま)の体積の割合。 - 「土被り(どかぶり)」
…地中に埋設された構造物の最上部から地表面までのことで、構造物にかぶっている土のことを指すため「土被り」という。「土被り厚」という場合は、土の部分の厚さを指す。地中の構造物にかかる圧力を分散させるためには、十分な土被りが必要。 - 「鉛直方向許容応力」
…物体に外からの力が加わった際、内部に生じる力が「応力」。機械や構造物を安全に使用するために許される応力の限界を「許容応力」といい、積載物など上からの荷重にどれだけ耐えられるかを示すのが「鉛直方向許容応力」である。 - 「水平方向許容応力」
…水平方向に荷重が加わった際に機械や構造物がどれだけ耐えられるかを示す数値。水平方向の荷重は、地震や台風、水害など、通常ではない場合が想定される。 - 「長期荷重」
…建物や構造物に対して常にかかっている荷重のこと。建物の鉄骨やコンクリートといった固定荷重や、家具などの積載荷重が該当する。これに対し、積雪や地震、風による圧力など比較的短時間にかかる荷重を短期荷重という。
法令・行政手続きに関する専門用語
雨水貯留槽の設置にあたり、自治体との事前協議や開発許可申請の場面で頻出する法令・行政用語を解説します。
雨水流出抑制(うすいりゅうしゅつよくせい)
降った雨水が下水道や周辺河川へ一気に流れ込むのを抑えるため、敷地内で一時的に雨水を貯留・浸透させて流出スピードを遅らせる対策のことです。集中豪雨による都市型水害を防ぐ手段として、多くの自治体で一定規模以上の開発行為を行う際に条例で設置が義務付けられています。
開発指導要綱(かいはつしどうようこう)
自治体が良好な都市環境の形成と災害防止を目的に定めている、建築・開発行為に関する行政上のガイドライン(ルール)のことです。雨水貯留槽の設置義務が発生する「対象敷地面積(例:500㎡以上や1,000㎡以上など)」や、必要な貯留容量(必要対策量)の算出式は、この開発指導要綱によって地域ごとに細かく規定されています。
特定都市河川浸水被害対策法
市街化が進み浸水被害のリスクが高い都市部の河川流域を指定し、流出抑制策を総合的に推進するための法律です。指定された流域内において、田畑の宅地化や舗装など雨水の浸透を阻害する「雨水浸透阻害行為」を行う場合、都道府県知事等の許可を受けること、および法基準に適合した確実な雨水貯留浸透施設を設置することが義務付けられます。
部材・施工に関する専門用語
メーカーの製品カタログや設計図書、施工現場での打ち合わせで頻繁に使われる、部材の性能や施工に関する専門用語を解説します。
空隙率(くうげきりつ)
貯留槽の全体積(外形寸法)のうち、実際に水を溜めることができる「空間(隙間)」の割合を示す指標です。従来型の砕石による貯留構造(空隙率約30〜40%)に比べ、近年のプラスチック製貯留槽は空隙率95%以上と非常に高い数値を誇ります。これにより、掘削面積や残土処分費用を最小限に抑えながら大容量の貯水量を持たせることが可能です。
土被り(つちかぶり)
地下に埋設した貯留槽の上端(天端)から、地表面(アスファルトや土の表面)までの「土や舗装材の厚み」を指します。上部を駐車場などとして利用する際、車両通行時の荷重を地盤へ分散させ、路面の陥没や構造体の破損を防ぐために重要です。安全性を担保するため、メーカーが定めた「最低土被り厚(例:600mm以上など)」を確保した設計が絶対条件となります。
流入マス・沈砂マス(りゅうにゅうます・ちんさます)
雨水が貯留槽の本体(貯留構造体)へ流れ込む手前に設置する、土砂や落ち葉、ゴミなどの異物を沈殿・捕捉するための点検マス設備です。槽内部へ泥やゴミが侵入して目詰まりや水質悪化を起こすのを防ぐ要の役割を果たします。引き渡し後の日常メンテナンスや定期清掃は、主にこのマスを開けて行うことになります。
まとめ
雨水貯留・浸透施設の計画や選定にあたっては、製品自体の強度や空隙率といった技術的仕様だけでなく、自治体の開発指導要綱や法令に基づく適切な申請・設計手続きが不可欠です。
確実な計画推進に向けた専門メーカーへの早期相談
必要な貯留容量の計算や不適地判定、行政窓口との事前協議などは、地域ごとの条例や基準に沿って正しく進める必要があります。申請サポートや設計実績が豊富な専門メーカーへ初期段階から相談し、確実で無駄のない導入計画を立てることをおすすめします。

