雨水対策やBCP対策として雨水貯留槽の導入を検討しているものの、「導入コストが高すぎる」「工期が長すぎる」などの問題で導入に踏み切れない場合もあるはず。施設の安全を守るためには重要な設備ですが、予算の確保は切実な課題です。本記事では、品質を落とさずに費用を抑え、賢く導入するための具体的な方法を3つご紹介します。
プラスチック製の雨水貯留槽の導入
費用を抑えるための選択肢の一つが、従来のコンクリート製ではなく「プラスチック製」の雨水貯留槽を採用することです。プラスチック製の雨水貯留槽は、地下式コンクリート雨水貯留槽と比較して、材料・施工コストを削減することも可能です。
人力での施工が可能
軽量でコンパクトなプラスチックのブロック材を使用するため、大型重機や特殊車両による作業を最小化でき、現場の人件費や運搬コストを削減できます。
工期の大幅短縮
コンクリート工法に不可欠な「養生期間」が不要です。施工日数はコンクリート工法の約1/2で済む場合もあるため、トータルコストを抑えられます。
まずは、検討中のコンクリート製プランと比較して、プラスチック製でどれくらい見積もりが下がるか、メーカーに試算を依頼してもよいでしょう。
参照元:積水化学工業|易施工の埋設式プラスチック雨水貯留槽で雨水対策(https://sekisui-cw.co.jp/method/)
プラスチック製雨水貯留槽と
コンクリート製との違いについて詳細を見る
設計の工夫で「掘削量と残土処分費」を限界まで減らす方法
雨水貯留槽の工事費用を膨らませる隠れた要因が、地下掘削に伴う土木工事費(土代)です。製品の材料費だけでなく、設計段階での工夫によって初期費用を大幅に圧縮することが可能です。
浅埋設(薄型)モデルの選定による掘削深さの抑制
地下に雨水貯留槽を埋設する際、掘削深さが深くなればなるほど、地盤を掘り進める「掘削費用」と、発生した土を現場外へ搬出・処理する「残土処分費」が高騰します。
同じ貯留容量を確保する場合でも、背の高い標準ブロックではなく、高さを低く抑えた「浅埋設(薄型)対応モデル」の製品を選定することで、掘削深さを浅く抑えることが可能です。掘削面積や残土量を最小限に抑えられるため、土木工事にかかる総費用を劇的に安く抑えることができます。
補助金・税制優遇の活用
国や自治体の支援制度を活用することで、実質的な負担額を大きく減らすことができます。平成27年度より下水道法が改正され、支援策が拡充されています。
税制優遇措置による負担軽減
一定の要件を満たす雨水貯留浸透施設を設置する場合、税制上の優遇措置を受けられる可能性があります。
「雨水貯留施設整備促進税制」では、貯水容量300m3以上の施設などの要件を満たすと、法人税や所得税において5年間の割増償却(10%)が適用可能です。
「固定資産税の特例」による支援もあり、特定都市河川流域において対策工事として設置される施設については、償却資産部分の固定資産税の課税標準が1/2〜5/6に軽減される措置があります。
自治体の助成金・交付金制度
多くの自治体で、雨水貯留浸透施設の設置に対する助成制度が設けられています。
「特定地域都市浸水被害対策事業」や「流域貯留浸透事業制度」などを通じて、民間事業者が整備する雨水貯留施設に対して国や自治体からの支援が行われる場合があります。
自社の所在地が対象エリアに含まれているか、管轄の自治体の下水道局や都市計画課へ問い合わせてみましょう。
参照元:アメッジ|平成27年度版 雨水貯留浸透施設の設置に対する支援措置のご紹介[※PDF](https://shinsui-portal.mlit.go.jp/amege/wp-content/uploads/2024/09/usui_h27-1.pdf)
既存の浄化槽を転用
下水道への切り替えによって不要になる「浄化槽」がある場合、それを雨水貯留槽として再利用する方法があります。これは新たなタンクを購入・設置するよりも安価な方法です。
撤去費用を節約し、助成金を受け取る
不要になった浄化槽を撤去・廃棄するには多額の費用がかかりますが、雨水貯留施設として改造することで、その費用を節約できます。さらに、自治体によっては改造工事費用に対して助成金が出る場合もあるのです。
現在浄化槽を使用しており、下水道接続の予定がある場合は、撤去せずに転用できるか、指定工事店や自治体に相談してみてもよいでしょう。
参照元:香川県広域水道企業団|みんなの水79.11送信[※PDF](https://union.suido-kagawa.lg.jp/uploaded/attachment/3281.pdf)
雨水貯留槽の導入総費用を確実に安くする「発注・選定の手順」
実際の導入段階において、発注者が主体となって全体の予算コントロールを行い、施工費用を適正化するための実務的な手順を解説します。
複数メーカー・施工業者への「相見積もり」と「一括提案」の比較
雨水貯留槽の設置工事費用は、製品の部材費や配送費だけでなく、土工、配管工、舗装工など多岐にわたるため、1社のみの見積もりでは適正価格を判断することが困難です。
費用を確実に安く抑えるためには、複数のプラスチック製貯留槽メーカーや専門施工業者に対し、同一の設計条件(必要貯留容量、設置予定場所、耐荷重要件)を提示した上で、部材の調達から施工、行政への事前協議までを含めた「一括提案(材工コミ見積もり)」を提出させて比較検討することが極めて重要です。
まとめ
雨水貯留槽の導入費用を圧縮するためには、単に安価な製品を選ぶだけでなく、構造や工法の見直し、各種支援制度のフル活用、発注手順の適正化といった多角的なアプローチが効果的です。
予算と条件に合わせた最適な導入計画の構築
コンクリート製からプラスチック製(浅埋設モデルなど)への切り替えによる工事費の削減、国や自治体の補助金・税制優遇措置の活用、既存浄化槽の転用、そして複数業者による「材工コミの一括提案」比較を組み合わせることで、品質や安全性を損なうことなく総コストを最小限に抑えることができます。
本サイトでは、導入を検討する方に向けて目的別に特徴の異なる「おすすめの雨水貯留槽3選」をまとめました。自社の計画条件に合致する製品選びの参考として、ぜひご活用ください。

