雨水貯留槽と浸透ますの特徴・役割の違い
雨水貯留槽と浸透ますは、どちらも雨水の流出を抑えるために用いられる施設ですが、果たす役割には明確な違いがあります。
雨水貯留槽の役割──ピークカットで集中豪雨に対応
雨水貯留槽は、雨水を一時的に地下へ貯留し、時間をかけて排水する施設です。集中豪雨時に短時間で大量に流出する雨水を一時的に蓄えることで、下流への流出ピークを抑える「ピークカット」の機能を持っています。
近年では、プラスチック製ブロック材を地下に埋設する方式が主流です。空隙率が高く大容量の貯水が可能なため、限られたスペースでも効率的に雨水を貯留できます。
浸透ますの役割──ベースカットで平常時の流出を低減
浸透ますは、集めた雨水を地中に浸透させることで流出量を減らす施設です。降雨後も継続的に雨水を地中へ処理するため、平常時の流出量を全体的に低減する「ベースカット」の機能を担います。
地下水の涵養や都市部のヒートアイランド対策にも寄与する点が特徴です。浸透性能は地盤の透水性に左右されるため、設置前に地質調査を行い、現場条件を確認することが欠かせません。
洪水対策にはピークカットとベースカットの両方が必要
都市部での洪水対策では、集中豪雨時のピーク流量を抑える「ピークカット」と、降雨全体を通じて流出総量を減らす「ベースカット」の両方が求められます。
貯留だけでは浸透による流出総量の削減ができず、浸透だけでは集中豪雨時の大量流出に対応しきれないケースも少なくありません。両方の機能を備えることが、雨水流出抑制の精度を高めるポイントです。
貯留と浸透を一体で実現する「雨水貯留浸透槽」は、効率的かつ有効な選択肢といえるでしょう。
雨水貯留浸透槽の代表製品と特徴
雨水貯留浸透槽は、プラスチック製ブロック材を地下に埋設し、貯留と浸透の両機能を持たせた施設です。ここでは、代表的な3つの製品の特徴を紹介します。
リスレインスタジアムGT(リス興業)
リスレインスタジアムGTは、従来品の約2倍の強度を実現した雨水貯留浸透槽です。空隙率94%以上を確保しつつT-25車両の通行にも対応しており、大型車両の停車・駐車が必要な現場でも採用されています。
埋設後の上部でクレーン作業も行えるほか、リサイクルプラスチック100%使用で環境にも配慮しています。耐震レベル2対応、1日あたり300㎥の施工が可能で、工期短縮にも貢献します。
参照元:リス興業|雨水貯留浸透槽-リスレインスタジアムGT(https://www.risu-kogyo.co.jp/risurainstadium/gt/)
ニュープラくん(秩父ケミカル)
ニュープラくんは、空隙率95%以上を確保しつつ水平方向の強度を向上させた製品です。本体重量は約3kgと軽量で、ジョイント部材が不要なため施工効率にも優れています。
T-25車両の通行に対応し、最小施設高0.35mのため地下水位が高い場所にも設置が可能です。公益社団法人 雨水貯留浸透技術協会の技術評価認定を取得しています。
参照元:秩父ケミカル|ニュープラくん(雨水貯留槽(https://www.titibu.co.jp/products/newpra/)
クロスウェーブ(積水化学工業)
クロスウェーブは、プラスチック製ブロック材を直接交差させて積み上げる構造により、高い空隙率と安定した構造を両立させた製品です。T-25車両の通行や耐震レベル2にも対応しています。
コンクリート工法と比べて養生期間が不要で、大幅な工期短縮が見込めます。全国都道府県の97%以上に施工実績があり、設計相談から施工後までのトータルサポート体制も整っています。
参照元:積水化学工業|クロスウェーブ特設サイト(https://sekisui-cw.co.jp/)
まとめ
雨水貯留槽はピークカット、浸透ますはベースカットにそれぞれ効果を発揮する施設です。洪水対策を検討する際には、どちらか一方ではなく両方の機能を組み合わせることが重要になります。
雨水貯留浸透槽は、貯留と浸透の両機能を一体で実現できるため、効率的な雨水対策の選択肢として有効です。製品選定にあたっては、土被りや地下水位、上部利用、施工スペースなど現場の条件に応じた比較検討が欠かせません。
各メーカーへの設計相談を活用し、現場に適した製品を選定されることをおすすめします。

