雨水貯留槽はゲリラ豪雨対策になる?

目次

近年多発するゲリラ豪雨への対策として「雨水貯留槽」が注目されています。本記事では、その仕組みや「貯留・浸透」の違い、実際の導入事例を交えて、工場や倉庫における浸水対策としての有効性を解説します。

ゲリラ豪雨対策になる?雨水貯留槽について

近年、地球温暖化の影響などによりゲリラ豪雨のような集中豪雨が増加しています。都市部において、こうした豪雨が水害を引き起こす要因の一つは、都市化によって地表がコンクリートやアスファルトで覆われ、雨水が地中に染み込む余地がなくなっているためでしょう。

本来であれば地中に浸透し、時間をかけて蒸発したり河川へ流れたりするはずの雨水が、行き場を失って都市部であふれてしまうのです。

こうした都市型水害のリスクを軽減するために、「雨水貯留浸透施設」が利用できます。これは、雨水を地下に浸透させたり、一時的に貯留したりすることで、地表に水があふれるのを防ぐ施設です。防災面での機能はもちろん、貯めた雨水を資源として活用も可能というエコロジーな側面からも、社会的なニーズが高まっています。

時間雨量100mm超の豪雨に立ち向かう「流出抑制(ピークカット)」の仕組み

近年激甚化するゲリラ豪雨において、雨水貯留槽がどのようにして自社敷地や周辺地域の冠水を物理的に防ぐのか、その制御メカニズムを把握しておくことが重要です。

下水道のパンクを未然に防ぐ「一時ホールド」と「オリフィス(流出制限弁)」

都市部の公共下水道は、一般的に時間雨量50mm〜60mm程度を想定して設計されています。そのため、近年多発する時間雨量100mmを超えるような局地的な豪雨が降ると、排水能力を一瞬で超えてしまい、道路や敷地が水浸しになる「内水氾濫」が発生します。

地下に埋設された雨水貯留槽は、敷地内に降った大雨を一時的に引き受けて地下へ「隔離(一時ホールド)」します。雨のピーク時には下水道へ流れる水量を極限まで絞り込む(ピークカット)とともに、雨が弱まったタイミングで「オリフィス(流出制限弁)」などを通じて一定の安全な流量(例:毎秒数リットル以下)でゆっくり下水道へ放流します。この時間差排水により、下水道のパンクと周辺の浸水被害を物理的に回避することが可能です。

雨水貯留槽の「貯留・浸透」の違い

雨水の流出を抑制する施設には、大きく分けて「雨水貯留施設」と「雨水浸透施設」の2つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解し、自社の敷地や目的に合った対策を検討しましょう。

雨水貯留タイプ

雨水貯留タイプは、地表や地下に雨水を一時的に貯め、時間差をつけて下水道や河川に放流することで、雨水流出のピーク量を減らすものです。このタイプにはさらに「表面貯留」と「地下貯留」の2種類があります。

表面貯留は、駐車場やグラウンドなどの空き地を利用して一時的に雨水を貯め、雨が止んだ後に放流する方法です。一方、地下貯留は、建築物などの地下に貯留槽を作る方法です。

雨水浸透タイプ

雨水浸透施設は、雨水を地下に逃がす方式です。水害の予防に役立つだけでなく、夏場の地表温度上昇(ヒートアイランド現象)の解消にもつながるメリットも。

浸透させる方法には、地表で浸透させる「面」の方法と、「点」あるいは「線」で浸透させる方法があります。面で浸透させる方法としては、浸透性舗装や浸透池などが挙げられます。点や線で浸透させる方法としては、浸透ますや浸透側溝などが挙げられるでしょう。

ゲリラ豪雨に耐える雨水貯留槽の「必要容量」はどう決まる?

ゲリラ豪雨対策として雨水貯留槽を計画する際、設計実務において最も重要なポイントとなるのが「何立方メートル(㎥)の貯留容量を確保すべきか」という容量計算です。

自治体が過去の最大降雨データから算出する「単位対策量」

多くの自治体では、ゲリラ豪雨から街を守るために開発指導要綱や雨水流出抑制要綱において独自の設置基準を定めています。

この基準は、地域の過去の最大級の降雨データ(例:10年〜15年に1回レベルの大雨)をベースに算出されており、敷地面積100㎡あたりに必要な貯留・浸透量(例:100㎡あたり3㎥〜5㎥など)を「単位対策量」として指定しています。

計画中の敷地面積にこの単位対策量を掛け合わせることで、ゲリラ豪雨を安全に無力化するために必要な総貯留容量(㎥)を客観的に導き出すことができます。

雨水貯留槽は普及している?

雨水貯留槽などの雨水貯留浸透施設は、各地のマンションや大型商業施設、公共施設などで導入が進んでいます。社団法人雨水貯留浸透技術協会の資料(2024年時点)によると、日本における地下貯留浸透施設の累計施工実績数は5338件とされており、件数は増加傾向にあります。

用途別の施工割合は民間住宅が1465件と最多ですが、商業施設は950件、工場など企業施設は611件と、件数構成比で言えば3番目・4番目に多く施工がされているようです。

参照元:雨水貯留浸透技術協会|「雨水貯留浸透施設」の施工実績データ(https://arsit.or.jp/achievement

【事例】プラスチックの雨水貯留槽でゲリラ豪雨対策になる?

実際にプラスチック製の雨水貯留槽を導入した事例として、社員寮の新築工事における「リスレインスタジアムⅡ®」の設置ケースを紹介します。

この事例では、社員寮の駐車場地下に、幅6.0m×奥行86.0m×深さ0.78m(容量約402.48立方メートル)の範囲でリスレインスタジアムⅡ®が施工されました。これはプラスチック製の部材をはめ合わせて積み上げ、複数のトンネル構造物にしたものを遮水シートまたは透水シートで包むことで、雨水を一時的に貯留・浸透させる仕組みです。

さらに、この事例では雨水貯留槽の上部のアスファルト舗装にも工夫が施されています。雨水を表層から路床へ浸透させる構造の「浸透性舗装」を採用することで、貯留槽への流出量を軽減し、より高い雨水流出抑制効果が期待できるようになっているのです。

参照元:大竹建機産業株式会社|プラスチック製雨水貯留浸透槽リスレインスタジアムⅡ®/社員寮新築工事(https://o-take.co.jp/archives/463

このサイトでは、導入を検討する方に向けて目的別に特徴の異なる「おすすめの雨水貯留槽3選」をまとめました。自分の計画に合った製品を選ぶ参考として、ぜひご覧ください。

大規模、中規模、小規模
【開発工事の規模別】
おすすめの雨水貯留槽3選はこちら

【目的別】
おすすめの雨水貯留槽3選

無料の雨水でコストを削減しつつ浸水被害を抑え、非常用水も確保できる雨水貯留槽。ですが、その性能や最適な設置場所は多岐にわたります。例えば、「狭いスペースへの対応力」、「大規模な貯留容量と効率的な施工」、あるいは「景観との調和や維持管理のしやすさ」など、メーカーごとに得意分野は異なります。ここでは、あなたのニーズにぴったりの製品が見つかるよう、特徴の異なる3社をピックアップしてご紹介します。

500㎥以上~
物流倉庫・工場などの
大規模開発工事なら
リスレインスタジアムⓇGT
(リス興業株式会社)
リスレインスタジアムGTの画像

引用元:https://www.risu-kogyo.co.jp/risurainstadium/gt/

重車両対応!
省掘削で短期施工を実現
  • 60t級クレーン対応の六角支柱構造により、物流倉庫や工場などで、荷物の積み下ろしエリアなどでのクレーン作業を中断せずに雨水貯留を導入可能。上部は舗装後、T-25車両が常時走行でき、搬入路や駐車スペースとしても安全に活用可能。
  • 第三者機関による構造評価書付きで、空隙率も94%と高く、各自治体の条例や流出抑制基準への適合がスムーズ。 モジュール式施工により1日300㎥という圧倒的な施工スピードで500㎥を超える大規模な貯留容量も短期間で確実に設置可能。 また、点検口の配置も自由自在で、メンテナンス維持に欠かせない長期的な管理まで容易に構築できます。
こんなお悩みにおすすめ
  • クレーン作業を中断せずに、工事も同時に進めたい…
  • 貯留槽の上を駐車場や重車両の通路として最大限に活用したい…。
  • 大規模な貯留量を確保したいけど、工期はできるだけ短くしたい…。
200~500㎥
集合住宅などの
中規模開発工事なら
クロスウェーブNe
(積水化学工業株式会社)
クロスウェーブNeの画像

引用元:https://sekisui-cw.co.jp/dl/data/CW_J_2025_5.pdf

駐車場下で短工期
節水と防災両立
  • 空隙率95%の高効率構造で限られた敷地でも必要容量を確保しやすく、深さ0.5〜2mの5タイプを同一モジュールで切り替えられるため、階高や敷地条件の異なる集合住宅計画にも柔軟に対応できる。
  • 浸透パネルの後付け対応や、掘り返し不要の構造により条例変更時の追加工事を回避できるうえ、軽量ブロック構造で点検や清掃も容易なため、長期的な維持管理負担も抑えられる。
こんなお悩みにおすすめ
  • 敷地の制約が厳しく、雨水貯留槽の設計に困っている…。
  • 長期的な維持管理のコストはできるだけ抑えたい…。
  • 限られたスペースを最大限に活かして、必要な貯留量を確保したい…。
200㎥以下
戸建ての宅地造成などの
小規模開発工事なら
システムパネル
(エバタ株式会社)
システムパネルの画像

引用元:https://www.ebata.co.jp/ebata/products/products001.html

重機不要!
パネルを組むだけ簡単施工!
  • 95%の高い空隙率を誇り、掘削範囲を最小限に抑えながら有効容量を最大化。200m³以下の小規模な現場に最適で、限られた敷地面積を最大限に有効活用できます。重機が入らない狭小地でも、人力でスピーディーに設置できるため、戸建ての宅地造成などでパフォーマンスを発揮します。
  • 50cm角・約2kgの軽量パネルは重機を使わずに搬入・組立が可能で、狭小地や造成済み宅地でも静かに短工期で設置できるため、後付けを含む小規模住宅への導入に適している。
こんなお悩みにおすすめ
  • 狭小宅地での貯留スペース確保が課題...
  • 特殊な重機を使わず施工したい....
  • 専門知識がなくても施工したい...

品質・安全性・施工実績を備えた
雨水貯留槽「3選