雨水貯留槽の基本的な施工の流れ
1.設計
まずは、用地の形や大きさに応じて貯留槽の設計を行います。設計は、以下の手順に沿って実施されます。
- 配置可能範囲の決定
- 平面形状の決定
- 土被り
- 貯留槽高の決定
- 貯留容量の確認
- 流入土砂およびきょう雑物対策
- 設計浸透量の算定
- 貯留構造体の照査と確認
作業用スペースを考慮した設計が必要
設計にあたっては、近くの構造物との距離や作業用スペースを考慮する必要があります。プラスチック製の貯留槽は軽量なため、搬入にあたって重機を使わないケースが一般的です。ただし、掘削や壁面補強などのためにクレーン車や油圧ショベルなどを入れる際は、搬入スロープなどを確保する必要があります。
2. 掘削・基礎工事
貯留槽を設置する場所を掘削し、基礎工事を行います。基礎の形式には、コンクリート基礎・砕石基礎・砂基礎などがあり、貯留槽の規模やタイプによって採用される形式は異なります。
施工不良を防ぐ「地下水位の確認」と「浮上防止対策」
プラスチック製貯留槽は空隙率が高く本体が軽量であるため、大雨による一時的な水位上昇や地下水位が高い現場において、水圧や浮力によって躯体が浮上・破損する重大なリスクが存在します。
これを防止するため、掘削時に想定以上の湧水が確認された場合は速やかに設計へフィードバックを行い、基礎部分へのコンクリート打設や砕石による自重の加重、アンカー固定といった適切な浮上防止策を講じるという現場判断が極めて重要となります。
3. シート工事
基礎工事を終えたら、シートの敷き込み作業を行います。シートは、施工現場の大きさに合わせてカットし、継ぎ目を重ね合わせて溶着します。
シートの選定について
雨水貯留槽の施工に用いられるシートには、主に「遮水シート」と「透水シート」の2種類があります。施設用途が貯留の場合は遮水シートを、浸透の場合は透水シートを用いて施工します。また、貯留槽全体を保護するための保護シートも用いられます。
構造体を覆うこれらのシートは、破損してしまうと機能を十分に保てなくなる上、地表の陥没等の二次被害が起こるおそれもあるため、耐久性や機能性等を比較し、現場環境に合った製品を選ぶ必要があります。
4. 雨水貯留槽/浸透槽ユニット組立て
シートの施工が終わったら、設計図を基に、貯留槽ユニットを組み立てていきます。プラスチック製の貯留槽の場合、部材は軽量で嵌合しやすい作りになっているため、手作業で組み立てることができます。
組み立てが終わったら、接続する流出管の径に合わせて、側板に穿孔ドリルで穴を開けます。
5. 流出接続管・管周施工
槽に貯まった雨水を排出するための接続管を施工します。あらかじめ管の口周りにシートを組み込んでおき、本体接続位置のシートに穴を開けて、接続管を挿入してからシート同士を溶着します。
これらの作業が終わったら、組みあがった貯留槽ユニットの上に保護シートをかぶせて仕上げます。側面シートを溶着後、天面もシートで完全に覆って溶着します。
6. 埋め戻し
貯留槽ユニットが完成したら、上から土を被せて地中に埋め込んでいきます。
路面陥没を防ぐ「層状の転圧(締め固め)」の徹底
駐車場や道路下に貯留槽を埋設する場合、埋め戻し時の締め固め作業が不十分であると、引き渡し後に大型車両が通行した際に地盤沈下や路面の陥没を引き起こす要因となります。
これを防ぐため、メーカーの施工要領書や雨水貯留浸透技術協会の指針に従い、埋め戻し土(または指定の砕石)を一度に投入せず、1層あたり200mm〜300mm程度ごとにランマーや振動ローラーを用いて入念に転圧(締め固め)を行う手順を遵守することが必須です。
T-25対応を担保する「適切な土被りと舗装構成」
埋め戻しの最終工程としては、設計図書で指定された「最低限必要な土被り厚(例:600mm以上など)」を確実に維持することが不可欠です。
十分な土被り厚を担保した上で、駐車場の用途に応じた規定の厚みのアスファルトやコンクリート舗装を施すことで、初めてT-25(大型車両25t)の通行に耐えうる所定の耐久・構造強度が発現します。
まとめ
雨水貯留槽の設置工事は、事前設計から掘削、シート施工、ユニット組み立て、埋め戻しに至るまで、各プロセスでの確実な施工管理が求められます。
長期的な安定稼働を確保する確実な品質管理
特に、地下水位の上昇に伴う浮上防止対策や、後日の路面陥没を防ぐための丁寧な層状転圧、ならびに規定の土被り厚の確保は、施設全体の安全性と耐久性を担保する重要なポイントです。
メーカーの施工手順や関連指針を厳格に遵守し、技術力と施工実績が豊富な専門業者と連携しながら施工を進めましょう。

