Q.設置工事はどのくらいの工数がかかるのか?
積水化学工業のプラスチック貯留材「クロスウェーブ」の公式サイトによると、1,000㎥の貯留槽を施工する場合、クロスウェーブはおよそ5日で完了します。一方、同規模の地下式コンクリート雨水貯留槽は約10日の工期を要します。
これは、プラスチック槽のほうが搬入・組立が簡易であることや、コンクリートと異なり養生期間が不要であることが要因となっており、クロスウェーブ以外のプラスチック槽製品でも同様の工期が実現できます。
Q.雨水貯留槽の具体的な施工手順(流れ)はどうなっているの?
プラスチック製地下雨水貯留槽の標準的な施工の流れを解説します。高度な専門技術や大型重機を長時間占有させる必要がなく、シンプルな工程で迅速に工事が進められます。
1. 掘削から基礎砕石・シート敷設までの下準備
まず、設計図面に基づいた所定の深さと広さまで地盤の掘削を行い、施工スペースの平坦性を確保します。続いて、地盤を安定させて水平を保つために「基礎砕石」を敷き込み、不陸調整(凹凸を平らに均す作業)を徹底して行います。
基礎が完成したら、貯留槽全体を包み込むための保護シートや遮水シート(浸透型施設の場合は透水シート)を、槽の底部にあらかじめ広げて敷設します。
2. 人力での本体組み立てとジョイント連結
下準備完了後、プラスチック製の本体ブロック(ユニット)を現場で組み立てていきます。部材を交差させながら積み上げ、専用のジョイントパーツや固定ピンを用いて確実にはめ込み連結します。
軽量なプラスチック部材を使用するため、大型クレーンなどの重機を必要とせず、作業員の人力のみでスピーディかつ安全に組み立てが可能です。
3. シート巻き込みと周囲の埋め戻し・転圧
所定の容量・高さまで組み立てが完了したら、あらかじめ底部に敷いておいたシート類で槽全体を風呂敷のように隙間なく包み込み、テープなどで密閉処理を行います。
その後、周囲や上部に土(または指定の砕石)を慎重に埋め戻し、ランマーやローラーを用いて十分な転圧を施します。最後にアスファルトやコンクリート等で表面舗装を行い、施工完了となります。
Q.コンクリート製と比べて、なぜ工期が大幅に短縮できるの?
プラスチック製雨水貯留槽がコンクリート製と比較して圧倒的な工期短縮を実現できる最大の理由は、施工プロセスの違いにあります。
現場打設が不要で「養生期間」がゼロになるため
従来のコンクリート製水槽(RC造)の場合、現場で型枠を組み、鉄筋を配筋した上で生コンクリートを打設する必要があります。さらに、打設したコンクリートが所定の設計強度に達するまで数日から数週間の「養生期間」を待たなければならず、どうしても工期が長期化します。
一方、プラスチック製貯留槽は工場で品質管理された高強度部材を現場で組み立てる工法のため、現場でのコンクリート打設や養生期間が一切不要(ゼロ)です。たとえば300㎥規模の槽組み立てであれば実質1日で完了するなど、大幅な工期短縮と現場管理コストの削減が可能になります。
Q.浮力対策とは?
浮力とは、雨水貯留槽の施工後に、槽の中に貯留した水によって発生する浮く力のことです。これは、地下水位が貯留槽底面よりも上になった場合に生じるもので、構造体に浮力や水圧がかかることで、プラスチック槽やシートの破損等といった事故が懸念されます。
一般的に、雨水貯留槽は地下水位よりも上に設置するものとされていますが、地下水位は降雨で一時的に上昇する場合もあり、これに備えて浮力対策を行う必要があります。具体的な浮力対策の方法としては、設計段階で土質や地下水位について調査を行うことが必要で、一時的に地下水位が上昇することが判明している場合には、土被り荷重による抵抗等を考慮して、個別に安定性を検討することが求められます。
※浮力対策に対する詳しい資料は、公益社団法人雨水貯留浸透技術協会による施術指針案をご確認下さい▼
Q.道路の下に施設を設置することは可能?
雨水貯留浸透技術協会の技術指針では、雨水貯留槽施設の設置にあたって、T-25荷重への対応を条件としています。これは、貯留槽の上を25t車が通過したり一時的に停車しても壊れない耐性を意味するものです。ただし、あくまでも一時的な荷重への耐性であり、日常的な車輛の走行を想定した道路には、専用の雨水貯留浸透槽製品があります。
Q.工事費用はどのくらいかかるのか?
雨水貯留槽の設置にかかる費用は、材料費と工事費に大別されます。一般的に、施工にかかる日数や作業人数が多くなるほど工事費用は多くかかります。
具体例として積水化学工業「クロスウェーブ」の公式サイトの記載を引用すると、1,000㎥の貯留槽を施工する場合、地下式コンクリート雨水貯留槽は材料工事費込みで約4,600万円、プラスチック製のクロスウェーブは約2,700万円と見積もられています。これは、プラスチック製貯留槽の施工のしやすさがそのまま工数に反映された結果であり、工事が簡単であるほど費用は安くなることが一般的です。
なお、雨水貯留槽の費用については、容量や設置環境などの条件によって変動します。そのため公式サイトで価格を公表している会社はほぼありません。設置を検討する際には、無料で見積もりをとることをおすすめします。
まとめ
雨水貯留槽の設置工事は、プラスチック製部材を採用することで養生期間をゼロにし、大幅な工期短縮と総合的な施工コスト削減を可能にします。
事前の現地調査と最適な施工計画を
スムーズかつ安全に工事を進めるためには、事前の土質調査や地下水位の把握、T-25等の荷重要件に応じた基礎・転圧計画が不可欠です。
現場条件に合った施工手順や工期、浮力対策などの技術的な懸念点がある場合は、施工実績と技術ノウハウが豊富な専門メーカーへ早期に相談し、確実な施工プランを構築することをおすすめします。

