災害対策として検討される雨水貯留槽ですが、実はヒートアイランド現象の抑制にも大きなメリットがあります。本記事では、ヒートアイランドによる問題点と、雨水貯留槽が対策として機能する理由を解説します。
ヒートアイランド現象による問題
アスファルトやコンクリートに覆われた都市部において、気温が周辺地域よりも高くなる「ヒートアイランド現象」は、企業活動や周辺環境に対して深刻な影響を及ぼします。
単なる気温上昇にとどまらず、把握しておくべき具体的な問題点は、大きく以下の3つです。
1. 熱中症リスクの上昇と人工排熱の悪循環
第一の問題は、熱中症リスクの増大と、それに伴う人工排熱の悪循環です。
日中の極端な高温化や熱帯夜の増加により、東京、大阪、名古屋といった国内主要都市において熱中症被害の増加が深刻化しています。熱帯夜が続くとエアコンの使用量が増加しますが、これにより室外機から排出される「人工排熱」が増え、さらなる気温上昇を招いてしまいます。この悪循環は、従業員の健康被害リスクを高めるだけでなく、企業の空調コスト増大にも直結します。
2. 夏場のゲリラ豪雨の誘発
第二の問題は、局地的な大雨(ゲリラ豪雨)を誘発しやすくなる点です。
ヒートアイランド現象による地面の高温化や人工排熱は、都市部の上空に強い上昇気流を発生させます。これが夏場のゲリラ豪雨を引き起こす大きな要因とみられています。急激な異常降雨は都市型水害に直結するため、自社施設の浸水被害を防ぐという防災の観点からも、ヒートアイランド現象の抑制は急務といえます。
3. 生態系の変化と感染症拡大のリスク
第三の問題は、生態系の亜熱帯化とそれに伴う感染症リスクの拡大です。
気温の底上げは、桜の開花や紅葉の時期に変化をもたらすなど、地域の植物や生態系に影響を与えます。さらに深刻なのは、都市部が亜熱帯化することで、これまでその地域にいなかった蚊などの感染媒介生物の生息域が拡大してしまう懸念があることです。新たな感染症リスクへの対応は、企業の事業継続計画(BCP)においても想定しておくべき課題となっています。
雨水貯留槽がヒートアイランド対策となる理由は?
雨水貯留槽(雨水貯留浸透システム)は「気化熱による蒸散作用」を活用できるため、ヒートアイランド現象の解決策として非常に有効です。
従来の側溝などから雨水を送り込む構造とは異なり、このシステムは地表面に降り注いだ雨水をすばやく地中に浸透させて保水・貯水します。蓄えられたきれいな水分が地表から蒸発する際、周囲の熱を奪うことで路面温度を効率的に低下させるメカニズムです。
具体的な効果として、夏場において従来のアスファルト舗装と比較すると10〜15度、従来のクレー(土)舗装と比較しても3〜5度の温度差に。これにより路面温度を下げることができるのです。
参照元:河口建設株式会社|雨水貯留浸透システムとは(https://kawaguchi-kk.co.jp/pages/57/)
まとめ
雨水貯留システムは、土、芝生、アスファルトなど、あらゆる表層の地下に施工が可能です。
ゲリラ豪雨での雨水流出を抑える「浸水対策」としてだけでなく、施設の路面温度を下げてヒートアイランドを防ぎ、節水効果も見込める「環境・防災の総合対策」として、雨水貯留槽の設置を検討してみましょう。

